アルコール依存症:Noutiブログ

脱アルコール依存症の病気:のうてぃ思考のNoutiブログ

今日1日だけ、依存症者の領域に踏み込まないこと!元アルコール依存妻のうてぃが、依存から自立へライフチェンジを目指す日々。自立して生きることを始めよう。Think Simple。

「お酒やめる」と言ってきたら?

こんにちは。noutiです。

暑い日々ですね。毎日帽子をかぶって外に出ないと、頭がやられてしまいそうな気温です。

お酒をやめると言われたら「冷静に、いつも通りに」

アルコール依存症者が、お酒によってとんでもない状態を繰り返し繰り返しやったあと、本人がひどく落ち込み、そして、「もう金輪際、お酒をやめたい」と言ってくることがあります。

 

私も夫から何度か聞いてきました。(何度かというのは、再発しているということです。)

再発のことは一旦さておき、「お酒をやめたい」と言ってきたら、家族側はここぞとばかりに幸福な気分になるかもしれません。「やっとわかってくれた!」「ようやく前に進める!」と思ったりもします。

もしくは、反対に「どうせまた言っているだけ。どうしてこんなことが信じられるの?散々騙されてきたんだから!」とむしろ期待させるような発言に不快になり、ため息をつくかもしれません。

 

これ、どちらの場合でも、極端です。

やめると言ってきたのを機に、テンション上がりまくるのも、極端で、逆に冷めすぎて、頑なに信じないのも極端です。

 

私はこの「お酒をやめる」宣言の対応に随分と失敗してきて、再飲酒のきっかけを作ってきました。そのきっかけの一つがこの極端な反応がです。

 

極端に喜ぶ人は、極端に落ち込みます。極端に回復に急ぐ人は、変わらないことに極端に失望します。

 

アルコール依存症者にとって、この「極端」ほど刺激的なものはありません。アルコール依存症者は、緊張状態がいつも続いています。お酒がないとどうしようもならないくらい、心も身体もダメになりつつあります。ギリギリのところをかろうじて生きているような感じです。ちょっとの刺激がめちゃくちゃ大きく受け取られます。

 

だからこそ、まず家族側は、絶対にこの「極端」な思考に陥らないように、「お酒をやめる」と言ってきたら、慎重に冷静な対応をすることで、この「やめたい」意志を守ってあげることができます。

 

「お酒やめる」は大きな変化のための尊い一歩

アルコール依存症者が「お酒をやめたい」と言ってきたら、これはサインです。見逃しちゃいけないサインです。SOSを出してきています。

いいか悪いかと言えば、もちろんいいサインです。散々自分で好きかってやって、もう自分ではお手上げ状態、アルコールなしにしない限り、人生を潰してしまうことを自覚し、アルコールを手放そうと決意した瞬間です。

 

でも、ついこないだ、昨日までお酒にどっぷりつかっていた人間がアルコールを手放すなんて、そんなチョロい話ではありません。

 

アルコールはめちゃくちゃ依存性の高いものです。

私はアルコールを飲まないので、その依存の怖さは本当の意味ではわかっていません。でも、アルコールは間違いなく中毒になるものであり、一度中毒になってしまった人が、その関係を断ち切るということは決して容易いことではありません。

 

「お酒をやめたい」と言ってきた瞬間は、飛行機に乗ったこともなく、海外に行きたがらない人が、ようやく、「ちょっと海外に行ってみようかな」と思いたって、海外の生き方を調べ始めたようなくらいの感覚です。ヨチヨチ歩きのスタートです。

 

これからやることは山盛りにあります。パスポートも申請しなくちゃいけません。トランクも買わないといけないかもしれません。空港への行き方も手続きもしなくちゃいけません・・・。やることは沢山です。

そんな時、ようやく海外について調べ始めようという気持ちになった人に対して、海外に対する怖い情報でも言ったら・・・、少しでも足かせになるようなこと言ったら・・・もしくは旅慣れしている人が、「そんなもの簡単よ!」と決断を決断と見ることもなくさらっと流したら・・・。不用意な刺激によって「やっぱりやめよう」と思ってしまうかもしれません。

 

お酒をやめたいと言ってきた瞬間は、まだまだちょっとした何かで一瞬でそれが壊れる可能性がある段階です。本人がどれだけ決断していても、ビクビクしていて、恐る恐る「進んでみようかな、どうしようかな・・・」と手を出したり、引っ込めたりしているんです。

 

その手を家族が、一気に喜んでしまって、無理やり引っ張ったり、もしくは、そんなの無理無理って相手にもしなかったら、恐る恐る出した手は一瞬にして引っ込んでしまいます。

 

それはいかに彼・彼女の決意が覚悟あるように見えたとか、今までと違ったとなっても関係ありません。アルコール依存症は意志がコントロール効かなくなった病です。一時的な頑なな意志が全てを変えられるなら、この世にそれこそアルコール依存症者なんてすぐにいなくなります。

 

長い年月飲んできた人が、やめるってことはすごいことなんです。めちゃくちゃすごいことなんです。だからこそ、本人から「やめたい、やめよう」と言ってきた瞬間を周りの者は絶対に壊しちゃいけません。

 

それこそ宝物のように、そっと大事に大事に扱ってあげます。

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ただ見守り、観察し、期待しない

私は、夫がお酒をやめると言い出した時は、ここぞとばかりに、これからはこういうことをしようとか、ああしようとか、やめるための工夫、やめ続けるための工夫を色々考えたり、勝手に提案してきました。

 

その結果、夫の回復へのスピードよりも完全に私が先走ってしまい、それが圧力と励ましが負担になり、スリップ(再飲酒)してしまいました。こんなことは何度も繰り返してきました。

 

本当に、本当に私は愚かだったと思います。

 

そして、そんなことを繰り返し経験してきたから、今度はもう私自身が傷つきたくなくて、夫が「お酒をもう飲まない」と言ったら、あえて頑なに信じないようにしたり、それは無理だと決めつけたり・・・。

本当は心の中で喉から手が出るほどほしいことなのに、自分が傷つきたくないあまり、人を信じることができなくなっていました。だから、今度は夫がやめようとしているのに、私が極端に無視して、悪化させてしまっていました。そういう意味では、私も随分と病気になってしまっていたのだと思います。

 

今までの地獄のような日々を繰り返さないためにも、アルコール依存症者が「お酒をやめる」と言ってきたら、家族側が刺激になるのは厳禁です。

 

無視もしません。でもだからと言って積極的な声かけもしません。今まで通り、チェックもしません。いつもだったら、気にしなかったことなのに、「やめる」と言われた途端、酒ビンが気になったりして、心のどこかで、「え?やめるって言ったよね!!!」みたいな気持ちが生まれてくることをぐっと堪えます。

 

絶対に刺激になるような発言をしません。この時期はとっても大切な時期なんです。本人のペースで、再飲酒しようが、あの時の決断はどこいった?と思えるような行動をしようが、静かに見守り、観察し、そして、期待をやめます。

 

変化は土台が揃ってから、徐々に始まります。そして土台作りには、家族の大きな懐の「何もしない」協力が必要不可欠なのです。

 

 

 

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