飲んだくれになって、寝てしまったら
アルコール依存症者にとって、「アルコール」は、何よりも効果的な「睡眠薬」です。アルコール依存症になっている人は、基本一定量のアルコールを飲んだら、眠りに入ります。
家族がこのスタイルを理解しておくのはすごく大切。
アルコール依存症者にとって、「飲んだくれになって、寝てしまう。」と言うのはとっても自然な流れです。
酔いで、頭がぼーっとしてきて、次第に現実逃避が成功して、そのまま寝入ります。
特に、夜にアルコールを飲み続けるのは、寝入るためでもあります。
周りの家族は、飲んだくれて、頭がぼーっとし始めて、ヨロヨロし始める依存症者にため息をつきたくなりますが、アルコール依存症者にとっては、目的遂行中です。
は〜!?って思うような行動でも、目的遂行中です・・・。
間違っても、「なんで寝ているの?」「やることやって。」などとは言ってはいけません。
言ったところで、喧嘩になるか、もしくは、全く聞く耳を持たないかです。
アルコール依存症者はコントロール障害と言われていますが、一方で、目的を持ってアルコールを飲んでいるのも事実です。
言葉通り、「飲まなきゃやってられない」から、飲んでいるのであり、周りの人たちはその目的を理解してあげることはめちゃくちゃ大切です。
飲まなきゃやってられないほど、生きるのが苦しいのが当人であり、飲まなきゃ眠れないほど、身体を休ませることができないのが当人です。
だから、アルコール依存症者が飲んだくれになって、寝てしまったら、彼らの「目的完了」です。
私たち家族側には、もちろん様々な思いがあるけれど、彼らは、ちゃんと寝入ることができています。
寝る・・・と言う私たちにとって当たり前のことができることだけでも、「アルコール」の役割に意味があったんです。
自分にとって、当たり前のことは、他人も当たり前にできるとついつい思ってしまいます。
でも、そうでないのが病気。アルコール依存症者は、当事者にしかわからない苦しみを抱え続けています。