傷つけられるよりも最大の痛み
アルコール依存症の家族は、「傷つけられた」と感じた日々が少なくないと思います。この病気は、精神をことごとく破壊する病だから。
夫との数々のバトルの日々、私も随分と傷つけられました。例外なく、夫も私によって傷つけられました。
傷つけられ、傷つくという連鎖が絶え間なく続くのが、このアルコール依存症とその家族です。
ただ、「傷つけられる」よりももっと最大の痛みが、「自分の弱さ」を知ることだと思います。
アルコール依存症に対して、大きな罵倒をしたり、アルコール依存症のことを責めたり、そのことによって、アルコール依存症から更なる攻撃を受け、今度は被害者になって(なることができて)傷つけられたり・・・そういうループにいる間は、すごく言い方は変ですが、まだ守られています。
死ね!とか、殺すぞ!とか、たとえ言葉がめちゃくちゃ過激であろうがなかろうが、この世の終わりみたいな地獄だろうが、なかろうが、命の危険すら感じようが、なかろうが、相手を攻撃し、自分が攻撃され・・・というループにいる間は、やっぱり、すごく変な言い方ですが、まだ守られています。
最大の痛みは、そのループから抜ける瞬間・・・つまり、まさに、「自分には問題がある」と皮肉ではなく、本当に正直に認める瞬間だと思います。
これが最大の痛み。
なぜなら、ループから抜けから抜けるというのは、真正面から、直光で、自分の問題と向き合わないといけないから。
煌々と照らされ、逃げたくても逃げられない。
これが最大の意味です。
でも、乗り越えること、成長すること、勇気を出すこと・・・というのは、きっとこういうことなんだと思います。
ループにいる間は、まだ文句が言える。まだ逃げられる。まだ他人のせいにできる。まだ被害者になれる。
でも、レベルアップしていくには、自分を成長させていくには、『ループを外れる』という最大の痛みを通らなくてはいけない。
そして、私にとって、「抜けるか抜けないか」もがいている時が、「最大」に痛いのであって、抜けた後は、実は晴れやかな解放感が待っています。
絶対に受け入れられなかった自分の「非」がストンと受け入れられる・・・。これはすごいことです。
投げやりで理解したわけでも、表面的に理解したわけでもなく、本当に、心からストンと受け入れられる・・・。
この繰り返しが成長だと思います。
だから、どれだけ祈っても、どれだけ共依存について学んでも、それこそ、どれだけ責めるのをやめていい人になろうとしても、ループから抜けられない限り、勝利はない。逆に言えば、ループから抜けて、しかも一つのループだけでなく、次々とループから抜け続けるなら、そこには勝利があるということです。