依存症者から言われたひどい言葉に傷ついているあなたへ
アルコール依存症という病気の症状の一つに暴言があります。
何をもって暴言というのかは、人それぞれですが、おそらくあなたが暴言だと思うことは、100%暴言です。またアルコール依存症者と日々生活をしている中で、あまりにも理不尽な言葉を言われることに慣れてしまうと、他の人が聞いたら明らかに暴言と思うようなことも、暴言と認識しなくなってしまう程に麻痺してしまうことがあります。
なのでアルコール依存症と生活しているという時点で、自分が暴言だと思うことは疑いもなく、100%暴言だと思っていいですし、またこれ暴言じゃないのかな?っていうふうに思うようなことも、おそらくほとんどの場合、暴言です。だから相手のことを不必要に許容したり、そこまで酷い言葉ではないなどと思い直す必要も全くないです。
暴言を言われると、とても嫌な気持ちになります。嫌な気持ちになることが普通なので、嫌な気持ちになっている自分を責めたり、また嫌な気持ちになってしまった自分にため息をつく必要は全くないです。
そしてアルコール依存症者は、よく「お前が自分を怒らせた」というような発言をしますし、実際に発言はなかったとしても、そのように考えている場合があります。
そして依存症者からそのようなことを言われたり、態度を取られたりすると、家族は勘違いして、本当に自分の言動や行動が相手に暴言を吐かせるまでにしてしまったのかと、真剣に考えてしまう人もいます。
そのような人にも伝えたいことは、あなたがアルコール依存症者に暴言を吐かせたわけではないということです。
アルコール依存症者が、あなたとの関係性や会話の中で、あなたにイライラし、あなたに対して良からぬ態度をとるという風に決めたことは事実ですが、それに対して暴言を言うというのは許容範囲を逸脱しています。
イメージとしては、例えばあなたがお客さんで、レジの人があなたにお釣りを渡す際に、少し手が滑ってしまって10円落としてしまったとします。そしてその時にレジの人がごめんなさいと謝りました。 それに対して、あなたはバカ野郎と言いました。 このバカ野郎というのが暴言です。そしてレジの人はバカ野郎と言われても仕方がない、なぜなら私は10円を落としてしまったからと考えているとすると、どう考えてもおかしい…問題があるのはバカ野郎と言ったお客さんの方だと誰でも分かると思います。
実際に家族側はこのレジの人になってしまうことが多いんです。
客観的に見たらこのようにわかることでも、自分とアルコール依存症者当事者になると、あー私が10円落としてしまったからだ…なんで10円落としてしまったんだろう…とうだうだ考えてしまう家族がいかに多いことか。
そしてアルコール依存症というのは病気で、このバカ野郎と言ってしまうことも病気だからなんです。
1の不愉快なことに1で返せない、1の不愉快なことに100で返してしまう…これも病気の症状です。
だから家族はまずアルコール依存症というのは、そういう病気なんだと、不愉快なことが起きた時に、普通の人の100倍ぐらいで反応してしまう、そういう症状が出てしまうこともある病気なんだということを、よくよく知っていてください。
そうすると家族側もそれなりの対応が取れますし、ささいなことで傷ついたり、悩んだりすることが少なくなります。