アルコール依存症は妻の問題じゃない
私の人生にとって「お酒」というのは、全くもって、自分の世界の外にあるものだったから、夫の「アルコール依存症」という事実は、そんな私にとっては、まさに大打撃でした。
なんだろう・・・。
私にとってのキャバクラみたいな感じかな。
その言葉とか、存在は知っているけれど、実際「知識」として、なんとなく知っているだけで、状況を見たこともなければ、行ったこともないし、それっぽいものをイメージできる感じだけ。
自分の中の辞書にそもそも「お酒」はなかった。
大学生になって、好奇心で、お酒を飲んでみたり、
社会人になって、付き合いで、お酒を飲んでみたりしたけれど、
20代の早い時から、そんな好きでもないものに対して、「付き合いで飲む」なんでばかばかしいと思って、飲み会に行っても、正々堂々とウーロン茶と言っていた。
1ヶ月にお酒を一口も飲まないことなんてザラだし、
それこそ、夫のアルコール依存症を本格的に理解し始めた頃なんて、お酒に対して、まさに嫌悪感しかなかったから、自分が積極的に飲むなんてこと、本当にありえないことでした。
自分の世界の外にあるものに対して、厳しく見ているんだろうね。
価値を感じないし、価値を理解できないから。
しかも、心から。
だから、それだけ、私は「お酒」に対して、距離があった。
自分の中にないものに対する反応って3つある。
1つ目が、「へえ〜」って思って、なるほどなるほど、ってなって積極的に受け入れる。学びとかがそう。
2つ目が、特に無関心。そういう人もいるのねーみたいな感じ。私にとって、メイドカフェとかそうかな。そういう格好したい人はすれば。そういうサービス受けたい人は受ければ・・・みたいな。人は人。自分は自分。どーでもいいってやつ。
3つ目が、ひどい嫌悪感。ありえない!ないないないないない!ってやつ。例えば、親に罵倒する息子とか私の中ではありえないね。
そういうのニュースでみたり、話で聞いたり、実際に目の前で見ると、ないわ〜ってすごくなる。私にとって両親は色々あれど、やっぱり「感謝」と「尊敬」の対象で見るべきものと思っているから。だって、この世に生み出してくれたわけじゃん!
アルコール依存症は、まさに私に取って、この中でいうと3つ目の反応だった。
ないないないないない!!!
絶対にありえない!ってやつ。
だって、人間と酒がセットになったら、基本、醜いんだもん。
飲み会の時とか、普通に「楽しんで」お酒を飲んでいたかもしれないけれど、やっぱり醜い。
酔わなきゃいいけれど、その先にある「酔い」の段階になると、ほろ酔いだろうが泥酔だろうが、もう醜さが出てくる。
話し方がダラダラしているし、
ニヤニヤしたり、無駄に興奮したり・・・、おまけにひどい時はヨロヨロしたり。
そしてにおい。。。。はっきり言って、臭い。
だから、私にとっては3つ目の反応しかないの。
人+酒=ダラダラ、ヨロヨロ、くさい・・・っていう。
だから、私はすごく怒っていたんだと思う。
アルコール依存症に振り回されていた以前は、本当に心の中で、怒りまくっていた。
でも、ある時から、このことに対して、ピタッと冷静になることができるようになった。
それが、まさにこれ。
アルコール依存症は、本人の問題。
念のため、もう一度。
アルコール依存症は、本人の問題。
本人の問題。
家族のせいでもない。
妻のせいでもない。
生い立ちのせいでもない。
友達のせいでもない。
仕事のせいでもない。
社会のせいでもない。
ありとあらゆる関係のせいじゃない。
これは・・・
本人の問題。
でもとか、あーとか思うかもしれないけれど、
やっぱり、
本人の問題。
本人がじっくり戦って、どうしていくのかしない限り、
家族も、
妻も、
(もちろん変わらない)生い立ちも、
友達も、
仕事も、
社会も、
何もできない。
でも、アルコール依存症の夫を持つ妻が、イライラしたり、酒+人に嫌悪感を抱いたり、ムカついたり、情けなくなったりするのは・・・
妻の問題。
これは、間違いなくそう。
私が、アルコール大嫌いな人間だから、アルコール依存症に対しての反応も作っている。
私が!ね。
私が反応を作っている。私の価値観と考えに基づいて。
信じたくないけれど、
私だって、もしももしも、酒飲みだったら、
「う〜ん、酒で紛らわしたくなる気持ちわかるよーでも、君は明らかに飲み過ぎだよ・・・」なんて呑気なこと言うかもしれない。
でも、私は絶対にそんなことはありえない。口が裂けてもないないない。
心底、大嫌いだから。
だから、これまで、びっくりするくらいに、
大げさな反応をし続けて、振り回され続けて、アルコール依存症の病をかき回してきた。
でも、もうそんなことからは卒業した。
彼は彼の問題。
私は私の問題。
それぞれがそれぞれの問題に向き合う。
回復を信じるのは私の問題。
断酒に取り組むのは彼の問題。
酒を見てイラつくのは私の問題。
イラつく私を見て、更にイラつくのは彼の問題。
どんどん続く。
でも、そういうこと。
誰の問題かしっかり判断しなきゃ。
この病気、自責に苦しむとか、私のせいかもとか、
私さえ変わればなんとか、なんて、そんな甘っちょろいものじゃない。
「自分の問題」に集中すること。
そして、アルコール依存症本人の問題は、本人の解決に100%委ねること。
アルコール依存症は妻の問題じゃない。
しつこいけれど、もう一回。
アルコール依存症は妻の問題じゃない。
涙を拭いて、今日も楽しみを見つけよう!