「もう無理!」と思ったら
アルコール依存症の家族と日々接している人は、何度か、心の底から「もう無理!」という感情になったことがあるかもしれません。
本当に、心の底から。
「もう無理!」という気持ちが湧いてきたら、ためらわないでください。
真面目なあなたは、「もう無理!」と思った瞬間に、「もう無理!」ということは全てを諦めるのか、今までのはなんだったのか、本当にもう無理なのか・・・と様々な思いが同時に湧いてきて、葛藤してしまいます。
なんで葛藤するのかというと、「もう無理!」と同時に、「無理ではない。」「無理にはしたくない。」という思いがどこかに残っているからです。
人間は誰しも、絶望なんてしたくありません。
絶望より希望です。
暗闇より明るみです。
だから、「もう無理!」と思えば、思うほど、「無理ではない。」という気持ちがどんどん湧いてきて、めちゃくちゃ苦しくなるんです。
だからそんなあなたに伝えたいこと。
「もう無理!」と思えたら、おめでとうです。
なぜなら、ようやく無力になれるということだから。アルコール依存症への囚われは、無力になって、すべてもう無理!とならない限り、囚われ状態です。
心はいつまでも解放されません。
「もう無理!」は無力へのスタートです。
だから、堂々と「もう無理!」でいいんです。
で、誤解してはいけないのは、あなたは「もう無理!」になるんです。
でも、実際に当の本人の治る力が再び湧き上がってくるか、こないかに「もう無理!」はありません。
本人に治る力が湧き上がってくることは、いつでも「もう無理!」なんてならないんです。
何度転んでも、息をしている限り、這い上がろうとする・・・それが人間です。
死ぬ瞬間まで、どこか成長を求めようとする・・・それが人間です。
あなたが堂々と「もう無理!」になったからといって、本人がこの病から立ち上がる力が湧いてくるかこないかについて「もう無理!」かどうかは全く別の問題です。
もっと言うなら、そこまであなたの力はすごくもなんともないんです。
あなたが「もう無理!」になろうがならまいが、本人は絶えずこの病と闘うんです。
あなたが「もう無理!」になった瞬間、病がエスカレートするわけでも、病が治るわけでもありません。
あなたには、そんな依存症の問題を、どうこうできるほどの権力も力も実は何にもなかったんです。
「もう無理!」となることが、この病からの真の解放を手伝ってくれるんです。
堂々と、「もう無理!」と思ってください。罪悪感は全く不要です。
十分すぎるほど、努力してきました。人がなんと言おうが・・・です。