足るを知ること
朝起きて、思ったことは、このままでいいのかという気持ちです。私の中にはいつも現状に満足していない気持ちがどこかに隠れていて、それが時たま顔を出します。
でも、単純なもので、一つ良いことがあったら、そんな思いは一瞬で消えてしまうんです。ああ、これでいいんだと思えるんです。
自分には完璧思考があるなと思います。これは完璧を求める思考じゃなくて、どこまでも完璧と感じられない思考です。
もっと良くなるんじゃないか、もっとできるんじゃないかと、絶えず、「もっと」を求める思考です。
これをいい言葉では向上心とも言うかもしれません。
でも、それは終わりなき向上心のようなもので、到達したかと思ったら、一瞬で自分で天井を引き上げるような、心を疲弊させる向上心です。
「足るを知る」ことができず、いつまでもないものを見上げる向上心です。これでは心はいつまで経っても豊かにならないなと思います。
アルコール依存症の夫が回復し、シラフになったからと言って、夫婦関係が一気に改善するわけではないと聞いたことがあります。
その通りだなとつくづく思います。夫の相手役をする自分が、いつでも絶え間ない「もっと」を求める人間である以上、夫に対する要求は、青天井で上がっていくだけでしょう。いつまでも満足しない、満足させることができない妻を持つ夫は、更に苦しむことになるでしょう。
向上心など、綺麗な言葉は甚だ自分に相応しくなく、貪欲の塊とでもいって、自分を戒めた方がよほど自身の成長につながりそうです。
どこまでも満足しないことは、精神的な病であると心得、与えられているもの、今あること、今の状況に感謝できることがたくさんありますから、それらにちゃんと感謝して、歩んでいきたいと思います。