アルコール=石油、口=炎の関係
今回は、アルコール依存症者と話すときのタイミングについて書きます。
会話は一言で言っても、様々な種類のものがありますよね。
会話1
例えば、何気ない会話。これが一つ目です。はっきり言ってしまうと、あってもなくても、どうでもいい会話です。
天気がいいね~とか、何か食べようか~とか。
正直、相手が聞いていなくても、それほど問題のない会話です。
この程度の会話は、相手がアルコール依存症者であっても、いつ話しても大丈夫な会話です。アルコール依存症者にとっては、痛くもかゆくもない会話ですから。
会話2
次にある会話が日常生活での「今日〜あった。」の会話です。
「こういうことがあった、こういうふうに思った、どう思う?」「ねえ、聞いて聞いて。」こんな類のものです。
さっきのどうでもいい会話に比べると、会話のレベルは上がります。そして、相手に対する要求も上がります。
この会話をするときには、少なからず、「相手に聞いてもらいたい、もしくは何か言って欲しい」という期待があります。
だから普通の人以上に、アルコール依存症者にとってはハードルが上がります。だって、相手のアクションを求めていますから。
この類の会話は、アルコール依存症者にとって、アルコールが入っていないときは、ほぼほぼ問題ありませんが、アルコールが入っていたら、「ちょっと面倒臭くさい」、「疲れる」、「できれば避けたい」ものです。だから、こういう話は、アルコールが入っているとわかっているときは、できるなら家族が持ちかけるのは我慢したほうがいいです。
会話3
そして次に、重大な会話です。決断や判断が必要な会話。期日が迫っていて結論を出さないといけない会話。人生の方向性が変わるような会話です。簡単に言うと、重たい会話です。
こういう会話は絶対に、絶対に、絶対に、アルコールが入っているときにはしてはいけない会話です。
お酒が抜けただろうと、勝手な判断をせず、少なくとも相手の睡眠を挟んで、完全にお酒が抜けていることを確認してから話すべきことです。たとえ、1秒でも急ぎたい案件であっても、話したらNGです。
アルコール依存症者が家族でいる限り、会話というものは必要不可欠です。だからこそ、家族はこの会話とうまく付き合っていかないといけません。
そのために、私は、アルコール=石油、口=炎の関係だと理解するようにしました。
アルコールが石油だとしたら、会話3は、アルコール依存症者にとっては放火を仕掛けられるようなものです。
私の口は、炎になっています。それだけなら、小さな炎です。
会話3は重大な会話です。重大な会話は頭を使わせます。別に言っている言葉は単純でも、アルコール依存症者にとっては、全部重大な会話です。言うまでもなく、何かに対する怒りや叱責も、重大な会話です。計画を立てることも、頭を使いますから、重大な会話です。
そんな時、何気ない一言が、炎上させます。私の言葉と、アルコールが合体したら、アルコール依存症者は、怒り狂い、暴れ、暴言を吐きます。小さな炎が、石油落ちたからです。
だから、「何でこんなことしか言っていないのに、こんな反応をされるの?」ともし思っていたら、それは質問が間違っています。
この時、アルコール依存症者にとって、家族の口は災いです。
体の中には沢山の石油が入っています。普飲んでいない人には、石油が入っていません。だから、普通の人は、イライラするな、ムカつくなで終わるかもしれません。
でも、アルコール依存症者はそうはいかないんです。
私のちょっとした言葉で炎上するのです。
だから、会話3の類いで、タイミングを考慮しないのは、自殺行為です。絶対に、抜け流のを待ちましょう。
話すタイミングと話し方と、アルコール依存症者の心の状態をちょっと理解すれば、無駄なトラブルは避けられます。
喧嘩はこりごり。
だからこそ、石油が入っていない側の、私たちがもっと賢くなりましょう。