「やってあげていいこと」と「いけないこと」
アルコール依存症者と生活している中で、「やってあげていいこと」と「いけないこと」は結構明確です。
日々、大変な状況の中を歩いていると、時に全部無視して、投げ出したくなったり、そうかと思えば、今度はまるで付き人みたいに何から何までやったり…
極端ですね。
こういう極端なことをしていると、間違いなく疲れます。持続しません。
大きな問題や喧嘩を起こしたくはないけれど、でも言うべきことは言わないといけない…などと色々と頭の中で考えて、試行錯誤しています。
今回は、アルコール依存症者と日々付き合う中で、「やってあげていいこと」と「いけないこと」をできるだけシンプルに考えます。
やってあげていいこと
まずは、やってあげていいことです。私は妻の立場なので、ここでも妻の立場で書いています。
アルコール依存症者に対して、「妻」になることはやっていいことです。
どういう意味かというと、仕事に行くときのお弁当を作ってあげたり、夫の好きな果物を自分は食べなくても買ったり、夫が流しに戻した食器を洗ったり、掃除をしたり…
全部やっていいことです。
自分ができる範囲でのサポートは、やってあげて全く問題ないし、相手も喜ぶと思います。
彼のシーツや、服も自分のと一緒に洗濯してあげます。
そういう基本的なことに、いちいち深く考えません。
間違っても、「自分はこんなにしてあげてるのに」と思う根拠に、人としてできる範囲の協力をネタに使いません。
そんなことしていたら、アルコール依存症者云々抜きにして、自分の心がどんどを狭くなるだけです。
やってはいけないこと
そして、次にやってあげてはいけないことです。それは、さっきのやっていいことの逆で、「妻」でないことの全てです。
たとえば、パジャマに着替えるのを手伝ってあげる…これは、妻のやることではありません。(Noutiはアルコール依存症者をテーマに書いているので、病気や介護もしないの?とかそういうツッコミなしですよ(^_^;))
大の大人が、アルコールによって、出来ることをできない時に「妻」の役割を超えて、「お母さん」になったらダメです。
テレビをつけっぱなしで、ウトウトしちゃっている夫を見て、いきなりリモコンを持って、テレビを消してはいけません。
もう寝た方がいいから、テレビを切って、寝よう…というのも大人の判断です。それを小学生のわんぱくな息子を相手にするかのように扱ってはいけません。
夫の都合による自分勝手なセックスも拒みます。「妻」であって、風俗嬢ではないのです。夫婦関係は愛の上に合意をもって成り立っているもので、お金をもらって、お客さんを満足させるかのような行為、まして、自分が不本意だけど我慢して耐えている…こんなのも絶対に「妻」の役割ではありません。
自分の尊厳を守ります。
当たり前のことを当たり前にして、おかしいことを受け入れない、自分が妻なら妻にしっかりなることで、問題が悪化することを食い止めます。
物事は思っているよりシンプル
アルコール依存症者と暮らすのは確かに大変なことも、疲れることもあるかもしれません。
でも、それが理由で、今度は自分が、お母さんになったり、風俗嬢になったり、家事代行サービスの家政婦になったり、赤ちゃんになったりしていたら、良くなるものも良くなりません。
確かに目の前にはアルコール依存症者がいるかもしれないけど、知らん顔して、自分は、夫の前では「妻」の役割に従事すれば、問題はどんどんシンプルになっていき、やがて消えて無くなります。
自分が思っていたより、ずっとシンプルだったと気づくのにNoutiは時間がかかりました。
でも今は夫の前では「妻」に集中して、親の前では「子」になって、それ以外の人との関わりは「それぞれの役割の自分」になって、自分の人生を楽しんでいます。