悪口を言われ続けられたら
アルコール依存症者は、自分が1に感じる不安を100に感じたり、そこまでイライラしなくてもよくない?!っていうくらい、欲求不満に陥ったりします。
そして、その気持ちが爆発して、悪口三昧になることがあります。
止まらない悪口に常識は適用できない
こういう時、常識で考えると破滅します。「えっ?どう考えても、そこまで言わなくても良くない?」「そこまで怒ることなくない?」なんてザラです。
あれ言っても、これ言っても、悪口、何をどういおうが、悪口です。
常識で考えるなら、もちろん、理不尽です。理不尽なことを、理不尽だとわかっても更に惨めになるだけです。
そんな時、一体どうしよう?ってなります。
これがアルコール依存症の症状だと理屈では分かっていても、押し寄せてくる悪口に、やってられない気持ちになるのです。
メールでのやり取りなら、返信が止まり、直接会って話しているなら、出てくる言葉も見当たりません。
そして、無視なら無視で、今度は無視をキレてきます。無視していることに対して、嫌味をたっぷり言ってきます。付き合えば、付き合うほど、気分が悪くなるから、もうやめにしたいのに、やめにすることすらできない…囚われみたいな状態です。
Noutiは随分こういうゲームをやってきました。
時には平謝りをしたり、時には、超クールで冷静に対応したり、時には、思いっきり喧嘩相手になってしまうこともありました。
捕まったら最後、最悪の泥沼です。次、まともに話せる時は、一眠りして(これも、昼寝じゃなくて、少なくとも6時間以上)酔いが覚めた時です。
そんなこと分かっていても、本人に「寝てほしい」やら、「酔いを覚ましてほしい」やらは言えません。ここは、本人が疲れ果てて、ベッドに倒れこむのを待つしかないです。
火は消せない。でも山家事は避けられる。
私にとって、この悪口三昧が続く時の即効薬はありません。
その代わり、小さな火の粉を山火事にするのを避けることに集中します。そういう意味ではある意味、(アルコール依存症者ではなく)自分の行動に気を使います。
思ったことストレートにバンバン話していたら、残念ながら、私は間違いなく山火事どころか街まで、海まで火を持っていく恐ろしい力があることを知っているからです。
悪口の裏にある気持ちを感じとる
悪口は悪口として、目の前で繰り広げられている以上、目をつむりたくても、やっぱりあるものはあります。そんな時、「結局、何に怒っているんだろう?」を常に考えます。
結局怒っているのは、お腹が空いたとか、帰るのが遅いとか、お前はバカだとか、そういうことではありません。口で言っていることはほとんどあてになりません。
怒りの気持ちがあって、その気持ちを表現するために、悪口を言いまくっているだけで、本人が実はどんな気持ちを持ったから、怒りを爆発させているんだろうと、落ち着いて想像します。(シャクだけど、自分のためにするんです。)
そうすると、結局は「寂しかった」とか、「自分が理解してもらえないと思った」とか、「軽視された気持ちになった」とか、「体力的にも疲れていて、労ってもらいたかった、かまってもらいたかった」などのアルコール依存症者の「気持ち」が見えてきます。
ここまで見えてくると、対応もだいぶ変わってきます。
本人も自分の気持ちを理解してもらえたと分かると、怒りが少し緩和されます。
本人が言っていることを真に受けてどれだけ対応しても、悪口が止まりません。でも、相手の気持ちを汲み取ってあげることで、真正面から応答し続けて、疲労困憊することから避けることができます。
終わりのない喧嘩はないし、
終わりのない悪口もないです。
それが続いている時は、永遠の地獄のように、本当に最悪な気持ちになるけれど、バカみたいな喧嘩を繰り返す代わりに、終結に向けて、急ぎます。
終結のきっかけになるのは、アルコール依存症者側が「この人は自分の怒りの理由、分かってくれた」と思えると、案外すんなり気持ちが収まってくれ、冷静になってくれるのです。
なんで、ここまで気を使わないといけないの!?と思うこともありますが、そういう時は1日凹んで、翌日持ち直しです。