依存症本人が依存症であることを否認という病気。
アルコール依存症の病気で最も難しいことの1つに否認という症状があります。つまり、本人がアルコール依存症であるということを否認するんです。
アルコール依存症の病気のために、日本で承認されている薬はあります。
病院に行って、アルコール依存症だと診断されると薬が処方されます。
ただ、この薬は断酒維持のための薬、もしくは飲酒量低減のための薬なんです。
つまりどちらもお酒をやめる、控えるということを助ける薬なんです。
つまり、アルコール依存症を本人の方がもう既にお酒をやめたい、お酒を減らしたいという風に心から思っているという段階になって、初めてこの薬の話になるわけです。
でも、本人がアルコール依存症であることを否認したり、本人がアルコールの必要性を感じているうちには、薬というのは全く役に立ちません。
なぜなら、本人の飲みたいという意思と真逆な効果を発揮する薬なわけですから。
本人が治したくないことを望んでいるのに、薬が治そうとするような感じです。
夫がどっぷりアルコール依存症だった時に、アルコールを飲んでいた最初の理由は寝るためでした。
アルコールを飲んで、脳を麻痺させないかぎり、寝れないくらいになっていました。
実際に寝てるというのにはほど遠く、気絶しているという感じです。
アルコールをたくさん飲んで寝たところで、睡眠は全然取れていないというのは本人も分かっていました。
しかし、もうすでにその頃には解決策もなく、ただアルコールを飲んで無理やり気絶して、ベッドに横たわることしかできませんでした。
夫が断酒し始めると手の痺れが始まり全く眠れなくなります。言葉通り、一睡もできなくなるんです。
それがとても辛くて、また飲酒に戻ります。とても自然な原理です。
夫の場合は、断酒維持のための薬だとか、飲酒量を低減のための薬よりも、睡眠薬が必要でした。
アルコールと同じくらいの効果を発揮してくれ、気絶同然にまで寝させてくれる睡眠薬でした。
でも、睡眠薬の効果よりもアルコールの方の効果の方が高いと思えば、当然アルコールに走ります。
アルコール依存症という病気にまでなってしまった人が、本当にアルコールを飲みたくて飲んでるというのはほとんどないです。
飲まざるを得なくなってしまっている、飲まないと生きていけなくなってしまってるっていうのがほとんどです。
私の夫の場合は、完全にアルコールにコントロールされてしまったので、専門の施設で医師の管理のもと必要な処方をされながら、強制的に断酒させられる環境に身を置くしか、抜け道はなかったというのが事実です。